グリッチエフェクト完全版:AfterEffectsとCapCutの両方で作る方法

グリッチエフェクトのAfterEffects制作例

グリッチエフェクトは「作り方を知っている人」と「知らない人」で、仕上がりが全く違うエフェクトだ。知らない人がやると「なんかチカチカしてるだけ」になる。知っている人が作ると「意図的なノイズの美しさ」になる。その差を生むのは原理の理解だ。

この記事では、AfterEffectsでゼロから作る本格的なグリッチと、CapCutで素早く作るグリッチの両方を解説する。

グリッチエフェクトの原理:何をシミュレートしているのか

グリッチとはデジタル機器の誤作動・データの破損・信号の乱れを映像で表現したものだ。具体的には3つの要素で構成される。

  1. RGB分離(Chromatic Aberration):赤・緑・青の各チャンネルが少しずつ横にズレる
  2. 水平スキャンライン(Scan Lines):映像が水平に細かく切れてズレる
  3. ランダムなフラッシュ:映像が瞬間的に白飛びするか黒くなる

この3要素を理解した上で作ると、グリッチの「強さ」「タイミング」「範囲」を自由にコントロールできる。

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AfterEffectsでのグリッチ制作:RGBチャンネル分離法

Step 1:映像を3枚複製してチャンネルを分離

  1. 素材動画レイヤーを3枚複製(Ctrl+D × 2)
  2. 一番上のレイヤー:「チャンネルのセット」エフェクトを追加 → 赤チャンネルのみ残す(G・Bを0に)
  3. 中間レイヤー:緑チャンネルのみ
  4. 一番下のレイヤー:青チャンネルのみ
  5. 3枚の描画モードを「スクリーン」に変更

Step 2:RGBの位置をランダムにズラす

// 赤チャンネルレイヤーのPositionエクスプレッション
// ランダムな揺れを追加(glitch感を出す)
freq = 8;           // 1秒に8回揺れる
amp = [12, 4];      // X方向12px、Y方向4px
wiggle(freq, amp[0], 1, 0.5, time) + [0, wiggle(freq, amp[1], 1, 0.5, time + 1)[1]]

赤・青・緑それぞれに少しずつ異なるwiggle値を設定することで、RGBが別々のタイミングでずれるリアルなグリッチになる。

Step 3:スキャンライン効果を追加

// スキャンラインレイヤー(平面レイヤー + エクスプレッション)
// cc_glue_gun エフェクトよりも軽量なシェイプレイヤー法
// 新規シェイプレイヤー → 長方形 → ランダムなY位置に複数本

// Y位置エクスプレッション(各スキャンラインに適用)
seed = index * 100;
randomSeed(seed);
yPos = random(0, thisComp.height);
glitchActive = Math.random() > 0.7 ? 1 : 0;
[0, yPos * glitchActive]

Step 4:タイミングを音楽に合わせる

グリッチはランダムに動かすより、BGMのビートに合わせて「ここだ」というタイミングで発生させる方が演出として強い。音声レイヤーのKeyframe Assistantで「音楽のビートにキーフレームを打つ」ことで、音楽連動グリッチができる。

CapCutでのグリッチ:3分で仕上げる方法

AfterEffectsの手法は品質は高いが時間がかかる。ショート動画やインスタ用に「とにかく速く」グリッチを入れたい場合はCapCutが有効だ。

CapCutのグリッチ実装手順

  1. タイムラインでグリッチを入れたいクリップを選択
  2. 「エフェクト」タブ → 「Video Effects」→「Glitch」カテゴリ
  3. 「RGB Split」「Glitch」「VHS」などから選択してプレビュー
  4. エフェクトの「強度」「速度」を調整(強度は20〜40が自然)
  5. エフェクトのデュレーションを0.3〜0.5秒に設定(長すぎると目が疲れる)

AfterEffects vs CapCut:グリッチの使い分け

用途推奨ツール理由
MVやブランド動画AfterEffects細部のカスタマイズと音楽連動が必要
ショート動画・SNSCapCut速度優先、プリセットで十分
ゲーム・テック系動画AfterEffectsRGB分離の精密なコントロールが映える
トランジションとして使用どちらでも可秒数が短いのでCapCutでも十分な品質

よくある失敗:やりすぎグリッチ

グリッチエフェクトで最も多い失敗は「長すぎる・強すぎる」だ。視聴者が疲れてしまう。実際のCRTモニターの誤作動は一瞬(0.1〜0.3秒)しか続かない。それを模倣することで「リアルさ」が出る。

ブライダル動画ではグリッチは使わないが、MV制作の現場にいたころは「このシーンだけ違和感を出したい」という演出でよく使っていた。監督から「もっとさりげなく」と言われることが多かったのを覚えている——グリッチはそれだけ主張が強いエフェクトだ。

まとめ

グリッチエフェクトは原理を理解してから作ると仕上がりが全く違う。AfterEffectsでRGBチャンネル分離を自分の手で作ってみることで、CapCutのプリセットが「何をやっているか」が見えてくる。技術の理解がツールの使いこなしを加速させる——これは動画制作全般に言えることだ。

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